首猫背(フォワードヘッド)は現代病の根源?

      2017/09/30

95%の人は首猫背!

 

季節も秋めいてきて肌寒さを感じる日も出てきましたね。

 

『寒い!』と感じると、肩をすくめ、顔が前に出た姿勢になりがちです。

 

ぼくもついつい、寒さを感じると、ポッケに手を入れ、肩を丸めて顔を突き出し歩いている気がします。

 

秋冬のシンボルとでもいうべきこのような姿勢ですが、この顔を前に出す姿勢は、現代人にとても多いのです。

 

一般的に言われる「首猫背」の状態です。専門的には、フォワードヘッドや前頭位といいます。

 

仕事柄、大勢の方の姿勢を見ますし、街に出かけてもついつい人の姿勢に視線が向いてしまいますが、95%の方は首猫背ではないでしょうか。

 

ライフスタイルの影響がかなり大きく、デスクワーク中はもちろんながら、立っている時でさえも、それが癖づいています。

 

 

 

フォワードヘッドになると何が起こるか

 

首猫背の状態は、顔が前に出ており、連鎖的にあごが挙がりがちです。

 

さもないと、前方を見れないからです。

 

同僚のデスクワーク姿を見てみてください。

 

あご挙げながらタイピングしているはずです。笑

 

殆どの方がそうなっていると言っても過言ではないかもしれません。

 

顔が前に出て、あごが挙がった姿勢をしている方の多くは、肩こりや頭痛を抱えています。

 

また、気分が悪くなったり、貧血になりやすかったり、めまいを抱えていたりすることもあります。

 

こういったことも、この頭の位置に影響を受けてるのですね。

 

椎骨脳底動脈という動脈の通り道が狭くなることで、脳への血流が少なくなり、貧血が起こったり、(頭がボーッとしたり、すっきりしなくもやもやしたり)

 

 

浅側頭動脈という頭の横側に向かう血管が圧迫されることで、こめかみから側頭部などの頭痛が起こります。

 

 

このような症状は、まさに現代人が抱えている症状であるといえますね。

 

特に女性に多く見られるのではないでしょうか。

 

マッサージを受けたり薬を飲んだりすることで凌ぐことも方法ではありますが、根本的な身体の改革が大切であるといえます。

 

 

フォワードヘッド(首猫背)が身体に引き起こす3つのこと

 

フォワードヘッド(首猫背)は身体にどんな影響をおよぼすのでしょうか?

 

実は、フォワードヘッドは呼吸との繋がりがあります。

 

呼吸自体についてのお話は以前に、たくさんお伝えしましたので詳細はそちらに譲りますが、フォワードヘッドになると、口が開きやすくなります。(これは後ほど、ご説明します)

 

試しに、頭が前に出ている人の口元を見てみてください。

 

わずかに開いていないですか?

 

もしかすると、ポカンと結構開いているかもしれません笑。

 

基本的に、吸気は鼻から行うことが基本ですが、口が開くと鼻呼吸がしにくくなります。

 

試しに、口を開けた状態で鼻から吸う場合と閉じて吸う場合とを比べてみてください。

 

明らかに開けている場合の方が鼻から吸いにくくなります。

 

このことが身体に3つの影響を及ぼすことが考えられます

 

  1. 自律神経
  2. 姿勢
  3. 記憶

 

ここでは3つの影響を順にお伝えします。

 

 

 

フォワードヘッド(首猫背)と自律神経の活動

 

口呼吸は自律神経のバランスを崩す!?

 

先程、フォワードヘッドは口が開きやすくなるとお伝えしました。

 

解剖学的にはフォワードヘッドになることで、舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、甲状舌骨筋、胸骨甲状筋)が伸張させられ下顎が下方後方へ引っ張られることに起因しています。

 

 

上記のように伸長させられることで、開口します。

 

先程お伝えしましたが、口が空くと鼻呼吸がしにくくなります。

 

また、呼吸が浅くなります。

 

呼吸が浅くなると、1回換気量が低下するため、1分間あたりの呼吸の回数が増えます。

 

呼吸の回数が増えると交感神経優位となり、その状態が常態的に続くこととなります。

 

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。

 

交感神経とは…

「闘争と逃走」といい、いわゆる興奮状態です。

血圧増加、血流量増加、末梢血管収縮、呼吸数・量増加など、戦うための準備を身体が起こします。

 

副交感神経とは…

「食事と休息」といい、いわゆるリラックス状態です。

上記の交感神経の反応とは反対のことが起こります。

 

食事中に戦闘モードのヒトはいませんよね?しぜんとリラックスするはずです。

 

交感神経優位になれば、筋の緊張も亢進しやすく、肩こり頭痛を助長したり、疲れが取れにくかったりと、、身体にとって望ましくないことが起こります。

 

一度、交感神経にスイッチが入ると(優位になると)、数時間その状態は続きます。

 

そうなると、副交換神経とのスイッチの切り替えも上手くいかず、常に心身ともに緊張した状態になります。

 

現代人は、ライフスタイルの影響から、既に交感神経優位になっている方がたくさんいます。

 

これに加えさらに、交感神経が高ぶれば、自律神経のバランスを崩し、様々な不定愁訴を訴えても全くおかしくはありません。

 

姿勢を正しく保ち、フォワードヘッドを改善し、正しい呼吸をすることで、自律神経のバランスも整いやすくなります。

 

 

鼻呼吸を使った副交感神経を活性化するエクササイズ

 

左の鼻で呼吸をすると副交換神経が刺激され(眼内圧が高まり迷走神経が刺激される。眼内圧が高まると迷走神経の活動が活発になります)、

 

反対に右の鼻で呼吸をすると、眼内圧が下がり、交感神経が刺激されるとされています。

 

これを利用した、片側の鼻をおさえて呼吸をする、「ナーディ・サーガナ」というヨガのエクササイズがあります。

 

普段から過心身ともにリラックスできない緊張タイプの方は、こういった呼吸をとり入れてリラックスを作り出すのもオススメです。

 

 

フォワードヘッド(首猫背)と腹圧

 

前述した通り、口が開いた状態になると、鼻呼吸が行えないため呼吸が浅くなります。

 

そうなると、呼吸回数が増え、徐々に主吸気筋である横隔膜が疲労し、機能低下していきます。

 

その結果、腹圧が高まりにくくなり、脊柱、特に腰椎の安定が低下します。

 

腹圧の適切な維持には、いわゆるインナーユニットと呼ばれる、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋、横隔膜の協調的な活動が必要です。

 

腹圧は姿勢の維持に大きく関わっています。

 

 

また、腹圧の高まりにより、腰椎椎間板にかかる負荷を30〜50%軽減することが出来るとさもれていますので、腰部の安定性には腹圧の維持が欠かせません。

 

特にアスリートや、仕事で重いものを持ったり、屈むことが多い方には必要です。

 

また、口を開けたままにしておくと、声門が開きやすくなり胸腔圧が低下しやすいともされています。

 

胸腔圧の低下も姿勢を維持することに影響を及ぼします。

 

これも、重たいものを持つときに口を開けた状態と閉じた状態で比べてみてもらうと、違いが明らかですので試してみてください。

 

もしくは、壁を押してみてもらってでもOKです。

 

踏ん張りが違いますし、お腹に入る力が増減します。

 

ちなみに、舌を上の歯の裏側、さらに口蓋につけておくことも重要です。

 

口蓋につけておかないと、胸腔圧の低下の他、口が開きやすくなり、頚部周囲の筋バランスが崩れます。

 

DFL(ディープフロントライン)という筋膜のラインで考えると、DFLは、横隔膜を通過し上方へ行くと椎前筋群、

さらに舌骨下筋群、舌骨上筋群をとおり、最終的に、頭蓋骨底や顎に到達します。

 

 

よって、顎を頷くこと、顎が安定していることは舌骨筋群の働きを高め、DFLにとって重要であることがわかります。

 

足底から頭までつながるこのDFLは、動作や姿勢においての重要性が極めて高いとされています。

 

矢状面の安定が得られていないと、他の面でも問題が起こりやすくなります。

 

身体の動作の問題の8割は矢状面にあるする学者もいます。

 

こうしてみていくと、フォワードヘッドになるだけで、身体の機能が大きく損なわれることがわかります。

 

呼吸、胸郭編でもお伝えしたとおり、呼吸が変わらなければ、身体を変えることは難しいです。

 

同時に、頸部周りにアプローチして行くことが大切です。

 

 

フォワードヘッド(首猫背)と記憶

 

鼻呼吸によって、鼻の粘膜が吸気により刺激されると、海馬に情報が届きます。

 

皆さん一度は聞いたことがあるとは思いますが、海馬とは、「記憶を司る場所」です。

 

タツノオトシゴのような形をしています。

 

私達が新しく記憶したことは海馬にいき、整理整頓されます。

 

その後、「何回もこの刺激がくるな、これは必要だな」というものは、大脳皮質に蓄積されていきます。

 

この海馬と鼻呼吸には深い関係性があります。

 

鼻の粘膜が「香り」などによって刺激されると海馬も刺激され、過去の記憶が一瞬にして思い起こされるようになっています。

 

街を歩いていて、ふわっと何か食べ物が香った時や人とすれ違って香る香水に匂いによって、昔の場面や、人、情景がバーっと思い起こされることがありますよね。

 

まさにこれは鼻の粘膜の刺激から、海馬へ直接伝達していることを示しています。

 

当然、思い起こされるだけでなく、記憶するときにも、鼻の粘膜を介して海馬が刺激される方が覚えやすいのです。

 

つまり、口で呼吸をしていると、「記憶をする」という観点からもよろしくないということですね。

 

勉強や仕事において、覚えなければならないことがたくさんありますが、心地のよい香りを鼻呼吸で刺激しながら行うと効率UPになるかもしれませんね!

 

 

フォワードヘッド(首猫背)改善のために

 

では、フォワードヘッドを改善していくためにはどうすればよいのでしょうか?

 

答えは、姿勢全体の調整が必要です。

 

頭部だけをどうこうしようとしても上手くいかないことが殆どです。

 

しかし、姿勢全体の話となると、話が到底収まらなくなっていますので、ここでは頚部に絞ってお伝えしていくこととします。

 

 

頚部の正しいアライメントには頚部深部屈筋(椎前筋群)の活動が必須

 

先程の、DFLのところで椎前筋群と名前を出しましたが、頚椎の前方についている筋群を椎前筋群といいます。

 

椎骨の前に位置していること、また、1つではなく複数から成り立つことから椎前筋群と呼ばれます。

 

4つの筋から成り、

  • 頭直筋
  • 外側頭直筋
  • 頭長筋
  • 頸長筋

で構成されています。

 

 

実は、純粋な頸部屈筋は椎前筋群しかありません。

 

グローバルマッスルとして胸鎖乳突筋や斜角筋が屈筋の作用を持ってはいますが、どちらも主働筋ではありません。

 

起始停止を見れば明らかですが、

 

斜角筋は、屈筋は補助的な役割で、メインは側屈、肋骨の引き上げです。

 

(頸長筋が斜角筋に流入することから、斜角筋もローカルマッスルと呼ばれることはあります)

 

頚椎の横突起の前結節や後結節から肋骨についています。

 

左右単体で見たときに、屈曲方向への動きに都合がよくは出来ていません。

 

(前額面上に近い角度で走行)

 

胸鎖乳突筋に至っては、乳様突起から鎖骨と胸骨行きですので、頚椎には一切付いていません。

 

 

 

そうなると、ことさら椎前筋の働きが重要でなることが分かります。

 

前方からの頸部の安定はもちろんのことながら、頸部の屈曲を1つ1つ起こすには、これらの筋が欠かせません。

 

頚椎のモビリティ、スタビリティが不足している人は現代人に多く見られます。

 

特に、環椎後頭関節、環軸関節の動きに頭直筋、外側頭直筋の働きが不可欠です。

 

この2つの関節は、頚椎の動き(3関節面)の25〜50%を担っています。

 

これらが働くことで、頚椎のアライメントは訂正され、過緊張に陥りやすい後頭下筋群の働きも改善します。

 

そうすると、屈曲、伸展、側屈、回旋全ての方向にモビリティの改善が見られます。

 

 

 

椎前筋群を促通するエクササイズ

 

椎前筋を使うエクササイズを2つご紹介します。

 

この椎前筋のエクササイズをする上で、事前に達成しておくべきこととして、

 

  • 胸郭の正しいアライメント
  • コアの安定性が得られている

 

が挙げられます。

 

これは、頚椎の動きには、胸郭の動きが常に伴い、胸郭の正しいアライメントが欠かせません。

 

胸郭は頚部の多くの筋に付着を提供しており、その土台として働きますが、この土台として働くためにはコアの安定性が不可欠です。

 

そのため、上記2つを達成していることが重要です。

 

 

頚椎を整える「サービカルノッド」

 

サービカルノッドの目的は、頚椎の動き理想のアライメント形成です。

 

本来、モビリティ関節である上位頚椎がフォワードヘッドにより、動きが低下し、

 

スタビリティがメインの役目である下位頚椎が過剰に動いてしまっていることが多く見られます。

 

この頚椎の本来の動きを取り戻すのが、サービカルノッドの役割です。

 

 

サービカルノッドのやり方

 

  1. 仰臥位になります
  2. 後頭部脳天方向へ引き伸ばしながらあごを頷くようにします
  3. 頚椎前弯2横指を確保した状態で上位頚椎の動きを繰り返します

 

頚椎の1番は鼻の一番高いところのやや下方と同じ高さにありますから、そのあたりを意識して動かすと良いです。

 

そして、頷いた後、もしくは同時に後頭部側を引き上げる感覚を持ちます。

 

そうすることで、ピラティスでいうエロンゲーションができ、椎前筋群の中の頸長筋が促通されます。

 

頸長筋は頚椎から胸椎3番ですから頭部に起始をもちません。

 

よって頷くだけでは、使われません。

 

頸長筋はディープフロントラインとして重要ですし、頸部の前方安定性に大きく役割を果たしています。

 

ですので、頷いた後のエロンゲーションは欠かせません。

 

分からなければ最初は指で乳様突起を引っ張りあげてもいいですね!

 

そうすることでさらに椎前筋群に入っている感じが分かります。

 

5秒キープを、1日10回でも出来ればokです!

 

試してみてくださいませ!

 

ポイントを抑えれば明確に椎前筋群の収縮を感じられますが、コツが分かるまで少々難しいエクササイズであるかもしれません。

 

 

頚部の安定を高める「ヘッドリフト」

 

サービカルノッドにより、椎前筋群の感覚をつかんだ方にステップアップとして行っていただきたいエクササイズになります。

 

ヘッドリフトといい、その名の如く、頭を持ち上げるエクササイズです。

 

目的は、椎前筋の強化です。

 

頭部の重さはおおよそ、6〜7kgですからそれを椎前筋で支えることになります。

 

サービカルノッドで正しい椎前筋の動員ができずにヘッドリフトに臨むと、ほぼ間違いなく胸鎖乳突筋に力が入ります。

 

胸鎖乳突筋のベクトルは頚椎1〜2と3〜7で作用する方向が反対になります。

 

1〜2においては、伸展する方向に働き3〜7においては屈曲する方向に働きます。

 

青線が伸展作用、赤線は屈曲作用

 

フォワードヘッドになると全てが赤線に変わり、強い屈曲作用が働きます。(前方移動を伴う)

 

つまり、この筋が強く作用すれば、フォワードヘッドになった時のチンアウトした形が出来上がるということです。

 

かといって、胸鎖乳突筋は頭部の回旋や頭部の安定において重要な働きをしていますから不必要な筋ではありませんからね笑。
椎前筋が正しく機能せず、胸鎖乳突筋が優位に働いた場合、ヘッドリフトにおいても、フォワードヘッドを促すようなチンアウトしたヘッドリフトに置き換わります。

 

これでは好ましくない動作を教育しているようなものですから、十分な確認が必要です。

 

 

ヘッドリフトのやり方

 

  1. 仰臥位になります
  2. サービカルノッドをします
  3. 頭を1~2cm持ち上げます
  4. キープします

 

ポイントは3のときです。

 

基本的に、頚椎の屈曲伸展は頭尾方向へ起こるとされています。

 

つまり、頚椎の1→7へですね。(文献により異なりますが)

 

よって、頭を持ち上げる際に、頭の先から順に頭を起こすことが大切になります。

 

もう1つ、これにおいて付け足すと、頭をごっそり持ち上げようとすると先にあごの高さの位置から持ち上がろうとするケースがあります。

 

そうなると間違いなくチンアウトしますから、椎前筋ではなく、胸鎖乳突筋が喜んで働くことになります。

 

これらのことから、頭の先から順に頭を持ち上げるようにしましょう。

 

そのためにも目線が大切です。

 

目線誘導をすると身体はは同じように動きやすくなります。

 

ヘッドリフトをする際に、足元を見ながら持ち上げるとなお椎前筋に入りやすく、行いやすくなります。

 

5秒キープから始め、60秒くらいまで目指してみてください!

 

 

まとめ

 

首猫背(フォワードヘッド)が呼吸を通して及ぼす影響についてみてきました。

 

頚椎には神経が集中していることから、首猫背は頭痛や肩こり、目眩などの身体の様々な不調と関連性があります。

 

改善には頸部だけへのアプローチでは難しいですので、姿勢全体を評価する必要があります。

 

猫背姿勢自体にはまた改めて解説をまとめ直しますのでそちらを参考にしてくださいませ。

 

 

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