〇〇エクササイズは転倒予防に効果的?

      2017/11/19

2007年に超高齢化社会となった日本にとって、高齢者の健康寿命と平均寿命の差を少なくするということは、日本の財源(医療費削減)の観点から見ても重要なことです。

医療費を削減する上で大切なことは、疾病をそもそも予防することです(1次予防)。

そこに関わっている私たちの果たす役割はとても大きいものです。

高齢者にとって深刻な問題になるのが寝たきりです。

寝たきりになると、平均で死亡まで8.5ヶ月というデータがあります。

 

寝たきりの原因の1つに大腿部頚部骨折があります。

そして、大腿部頚部骨折の大半は転倒、転落で起きます。

この大腿部頚部骨折の原因となる転倒、転落を起こしにくくすることが、ここでは1次予防になるわけです。

 

では、足部の観点から見ると何かできることはあるでしょうか?

 

足趾・足底機能向上は転倒リスクを減らす

 

足部の機能として、衝撃の吸収、推進力を生み出す、姿勢制御があります。

そして、足部のエクササイズとして最もポピュラーなものは足趾の運動です。

ジャンケン運動からタオルギャザー、把持エクササイズなど様々あります。

そして、足趾は身体の安定性にも影響を及ぼします。

では、実際に足趾の機能が低下すると転倒のリスクは高まるのでしょうか?

この問に関する、いくつかのリサーチをご紹介します。

 

健常女性を対象に、足趾機能と姿勢制御能としての下肢誘導能、動的姿勢制御能との関係を調べた。
その結果、「足趾運動能と片足・両足起立能」、「足趾運動能と足趾把持筋力」に有意な相関関係を認めた。
足趾把持機能は、閉鎖運動連鎖での地面に対する安定性と情報入力収集機能を併せ持ち、それらが相まって身体の動的安定性を保持させているとしている。(馬場八千代,2000)

 

転倒のリスク要因の一つである下肢運動機能や姿勢制御能の低下,障害を客観的に示す身体運動能力テストの開発を目的として,地域在住者を対象に, 転倒に関与することが予測される身体運動能力を評価し た。その結果,転倒群は非転倒群に比べて,足趾把持筋力,握力,動的姿勢調整能,下肢誘導能,前方Functional Reach距離,10 m歩行時間などに有意な差を認め,動的姿 勢制御能,10 m歩行時間,重心動揺外周面積の改善は転 倒の危険性を減少させる要因であると報告している。
また,足趾把持筋力は握力,動的姿勢制御能,膝伸展 筋力,Functional Reach Test, 10 m歩行時間,Timed Up and Go Testとの相関を認めていることからも,足趾機能評価 の重要性を示唆している。(木藤伸宏,2000)

としています。

 

また、

足趾把持練習が高齢者の転倒予防潜在性 を持つかどうかを明らかにすることを目的として,老人保健施設に入所者の高齢者に対して,10分間の足趾把持 筋力強化練習を週3回,8週間実施した。その結果,練習 群において有意に重心動揺の総軌跡長・外周面積・X軸方向の最大振幅が改善した。これらのことより,足底メカノレセプターの賦活と,目と足の協調性の改善が要因で あると考察している。また,X軸方向の最大振幅が,将来 の転倒を予測する最良の因子としているMakiらの報告 や,前述の外周面積の減少が転倒の危険性を減少させる という木藤らの報告からも,高齢者の足趾把持練習が転 倒予防となることを示唆している。(小林隆司,1999)

 

さらに、実際のエクササイズの効果がいつまで持続するのかというリサーチもあります。

 

健常成人に対して,動的姿勢制御練習 の一部である足趾・足底練習を週3回,8週間行い,その結果,足趾把持筋力,重心移動距離,足関節底屈・背屈力,下肢誘導能,膝関節屈曲反応が改善し,反復横跳び・
立ち幅跳びなどの動作遂行能においても改善が認められたと報告している。これらのことより,足趾・足底練習 によりメカノレセプターが賦活され,神経運動器協調を改善するとともに,足底筋群-腓腹筋-ハムストリング スの運動連鎖を誘発し,姿勢制御能が改善・促進されたためと考察している。
更に,練習中止3ヶ月後においても,大部分が維持されていることから,末梢効果器の機能増大のみならず,運動前野での新たな神経網の形成が考えられると述べてい る。 (井原秀俊,1997)

 

 

まとめ

以上の事から、足趾のエクササイズ(ジャンケン運動からタオルギャザー、把持エクササイズなど)は、足趾把持筋力、メカ ノレセプターの賦活を改善し高齢者の転倒予防につながるといえます。

また、歩行時にも足趾は貢献し、体重支持面積の増大と推進力を与えることで、身体全体の機能向上にも繋がるといえます。

座っている時間が長い現代人にとって、高齢者関係なく、足趾の体操を取り入れると良いかもしれませんね。

 

 

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