呼吸の生理的メカニズム

機能解剖

【呼吸の生理的メカニズム】

 

前回は、横隔膜についてお話をしました。

 

前回、横隔膜のお話はこちら【吸気筋~横隔膜~】

 

横隔膜の簡単な復習をしますと、

 

安静時吸気の7~8割を担っている横隔膜は、その働きによって、垂直、前後、横すべての方向に胸腔を拡げます。

 

胸腔が広がらなければ、胸腔内の陰圧が下がらず、肺に空気が入りません。

 

さて、では胸腔の陰圧とはなんでしょうか?

 

また、そもそも何故、体内に空気が入ってくるのでしょう?

 

このあたりを今日はお伝えしていきます。

 

生理学の観点から見た「呼吸」です。

 

 

陰圧とは

陰圧とは、物体の内部の圧力が外部より低い状態をいいます。

 

気圧は必ず圧の高い方から、低い方へ流れます。

 

つまり、『陽圧から陰圧へ』です。

 

そして、胸腔内は絶えず陰圧です。

 

裏を返すと、大気圧は陽圧であるということですね。

 

この根本の原理があるからこそ、体内に空気が入ってくることができます。

 

この胸腔内が絶えず陰圧という状態から吸気を行うと、胸腔は拡張しさらに陰圧になります。

(体積が拡がるということは、単位体積あたりの圧力は低下する)

 

このことで外から空気が流れ込んでくる。

 

というメカニズムですね。

 

このとき、肺は自らの弾性収縮力に打ち勝って拡張し、肺胞内圧が陰圧になると空気が流入してきます。

 

反対に、呼気時には横隔膜が弛緩して胸腔内の陰圧が軽減し、肺胞内圧が陽圧になることで空気が外界へでていきます。

 

 

臓側胸膜と壁側胸膜

 

ではもう少し踏み込んで学んでいきましょう。

 

肺はその周囲を、「臓側胸膜(ぞうそくきょうまく)」と、「壁側胸膜(へきそくきょうまく)」という2枚の膜によって覆われ、胸郭にくっついています。

 

※人体の構造と機能より引用

 

ここは重要です。

 

肺はその性質上、伸縮性に富んでおり、絶えず萎もう萎もうとしています。

 

そのため、体外に取り出すと一気に萎むと言われています。

 

では、体内にある肺は、何が萎まないように一定の形に留めているのでしょうか?

 

 

胸腔圧は常に陰圧

答えは、先ほどの2枚の膜です。

 

2枚の膜の間の空間を、「胸膜腔(きょうまくくう)」と言いますが、この部分が陰圧なのです。

 

胸腔よりもさらに胸膜腔が陰圧であることで、肺は陰圧側へ広がろうとします。

 

つまり、胸壁にピッタリくっついていることが可能となり、結果、一定の膨らみをキープできるということです。

 

 

気胸になると、肺が萎んで、、、と言いますが、これは臓側胸膜に穴があいてしまい、胸膜腔に空気が入り込み、陰圧でなく陽圧(肺より陽圧)になるからです。

 

陽圧になると、肺を引き寄せるものがなくなる為、(胸膜腔より胸腔の方が陰圧であるため)萎んでしまう、ひいては呼吸が上手くできない、というメカニズムです。

 

ちなみに、胸腔の圧は平均-5mmHgです。

 

吸気時は-8mmHgまで下がり、呼気時には-2mmHgまで上がります。

 

呼吸をしていると、残気量がありますが、これもその原理からです。

 

完全に吐き出してしまうと、圧が上がりすぎてしまい(陽圧になる)、外から空気が入らなくなるためです。

この記事を書いた人
鈴木 孝佳

アスレティックトレーナー兼プロダクトマネジャー。
自他ともに認める健康オタク(最近、生命線が手首を突き抜けている事に気づいた)
音楽が好き。(ギター、ドラム、カラオケを嗜む)
休日には、東京の美味しいものを探しに。

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