身体図式と身体イメージとは~姿勢、運動との関係性~

姿勢
姿勢や動作を考える上で、身体図式は重要です。
 
なぜなら、全ての姿勢や動作は、身体図式が根幹にあるからです。
 
また、身体イメージは道具を操作するスポーツにおいて欠かすことの出来ません。
 
用語の意味としてもやや混同しやすい2つの言葉。
 
身体図式、身体イメージとはどういったものか、本記事ではそれらを解説していきます。
 
 

身体図式とは

身体図式とは以下のように定義されます。
 
自分の身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセス
Head,Holmes.1991
 
なんのこっちゃいなって感じですね!
 
まぁ、簡単に分かることは、「無意識」に作用しているってことです。
 
身体図式は、ボディスキーマとも言われることもあります。
 
簡単に言うと、自分の姿勢や運動を理解するために必要なものです。
 
例えば、私達は自分の今の姿勢の状態を目で確認しなくても理解出来ます。
 
「あの隙間はギリギリ通れる」といった自分の体のサイズ感
 
とか、
 
座っていて、自分の背中が丸まっている
 
とか、
 
右手の人差し指に何かが触れている
 
とか、こういったことって目で見て確認しなくても分かりますよね。
 
こういった情報が脳に届き、無意識に処理されています。
 
意識しようと思えば、意識下に上げることが出来ますが、普段は全て無意識下です。
 
身体は、1秒間で4000億もの情報を受け、それらを2000→40に絞り、最終的に意識できるのは4つまでになります。
 
意識出来る数はかなり限られていますから、通常多くの情報は無意識に処理されています。
 
 
身体図式の情報には、前庭からの情報、深部感覚からの情報、皮膚感覚からの情報が集まり、統合されています。
 
この身体図式が正確であるほど、自分の身体の状態を正しく理解できており、その情報を元に運動が構築されます。
 
仮に、脳にあがってくる情報がかなり誤ったものだとすると、それに基づく運動は大変なことになりますよね。
 
先程の例でいうと、通れると思ったところが通れず、挟まる。
 
背中が丸まっていると思ったら実は反っていて、必要以上に反らせてしまい腰を痛める。
 
など、思いがけないことが起こります。
 
姿勢を正しく保つ、運動を正確に行うためには身体図式の構築が欠かせません。
 
 

身体図式はどこでつくられる?

身体図式は脳のどこで統合されているのでしょう。
 
それは、頭頂葉の上頭頂小葉という部分です。
 
腹-背経路と呼ばれる部分であり、ブロードマンの5野、7野に当たります。
 
一次体性感覚野の近くにあり、その影響を大きく受けています。
 
上頭頂小葉には、関節組み合わせニューロン皮膚-関節組み合わせニューロンの2つがあり、身体の様々な部位からの情報を受け取ります。
 
また、片側性だけでなく両側性の情報(上下肢、体幹、手足など)を受け取り処理しています。
 
このニューロンは、単純で受動的な刺激には反応せず、複雑かつ能動的な動きの際に活性するとされています。
 
触覚的な空間的位置と運動を識別すると同時に、3次元的な姿勢パターンや運動を捉えるのに働いています。
 
重心の移動が起こった際にそれを感知できるのもこれらのニューロンのおかげですね。
 
この部分が損傷されると、各関節の動きは保たれるが、全体としての姿勢がどうなっているかが理解できなくなります。
 
 

身体イメージとは

身体イメージとは、以下のように定義されています。
 
自分自身の身体について意識的にもつ表象 Head,Holmes.1991
 
普段は無意識だが、何らかのトリガーきっかけで意識下に立ち上がるイメージとされています。
 
先述した身体図式の情報も意識することで、頭の中でおそらく自分の身体のイメージを持ったと思います。
 
例えば、あの隙間は通れるか?となった場合、自分の身体のサイズの横幅をイメージして、可否を判断しています。
 
つまり、隙間を通れるか?ということがトリガーとなり、意識下に立ち上がったということですね。
 
 

身体イメージはどこで作られる?

身体イメージは、身体図式の情報+視覚情報で成り立っています。
 
これは、下頭頂小葉で統合されています。
 
下頭頂小葉は、ぶつけやすかったりブロードマンの39野、40野にあたり、39野は言語、概念、イメージに関わり、40野は道具の操作に関わります。
 
下頭頂小葉は、視覚的情報と体性感覚情報の2つに応答するニューロンを持っています。(頭頂間溝:バイモーダル・ニューロン)
 
そのため、視覚的イメージを伴った身体イメージを形成します。
 
 

身体イメージと道具

身体イメージは道具を扱うときに非常に役立ちます。
 
例えば、普段鞄を持って歩く時、前から来る人にぶつけたり、隣の人にぶつけることはありませんよね?(あってもそう頻繁にはないはず笑)
 
これは、鞄のサイズ感をも身体イメージに取り込んでいるためです。
 
これは車で例えると大変分かりやすくなります。
 
車を運転していると、「不思議とこの道幅はギリギリやなぁ」とか、「このトンネルは低くて天井をこするから無理」などと判断することが出来ます。
 
これも身体イメージの延長と言われるもので、この能力により、車をあちこちぶつけずに済んでいるのです。
 
逆に言うと、車をどこかにぶつけやすかったりするのは、身体イメージが不正確だということですね。
 
 

身体イメージとスポーツ

道具を扱うスポーツではそのパフォーマンスに影響します。
 
ラケットやバットを扱うスポーツでは、その距離感が重要です。
 
正確にボールをミートさせるには、ラケットやバットを体の一部のように扱えなくてはなりません。
 
では、そのパフォーマンスをどうすればよいのでしょうか?
 
身体イメージを分解すると、身体図式+視覚でしたね。
 
もっと分解すると、前庭器官、深部感覚、皮膚感覚+視覚です。
 
つまり、これらの機能を高めることがとても重要だということが出来ます。
 
 

まとめ

身体図式は、無意識下で統合されている身体の情報のまとめであり、姿勢や運動時に全体がどうなっているかの情報を与える。

 

身体イメージは、身体図式に視覚情報が加わったものであり、何かがトリガーとなり意識下にのぼる。

 

道具の操作では、身体イメージが正確にできているかが重要であるが、身体図式と視覚が適切に働いてなければならない。
 
 
この記事を書いた人
鈴木 孝佳

アスレティックトレーナー兼プロダクトマネジャー。
自他ともに認める健康オタク(最近、生命線が手首を突き抜けている事に気づいた)
音楽が好き。(ギター、ドラム、カラオケを嗜む)
休日には、東京の美味しいものを探しに。

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