Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール)

機能解剖

スポーツにおいて最も受傷数が多いとされる足関節内反捻挫。

 

一般的に軽視されがちの怪我であり、実際にお客様に「これまでにしたお怪我はございますか?」と聞くと、「ないですね~」「足首をくじいたり、捻ったりは?」「あります!」となるくらいです。

 

そんな多くの方が経験したことのある足関節内反捻挫は、時に骨折を伴うこともあります。

 

あるリサーチでは、足関節内反捻挫をしたうちの15%に骨折が見られたということです。

 

かくいう僕も、足関節内反捻挫に伴う第5中足骨底の剥離骨折をしたことがあります。

(小4でしたので医学的な知識もなく、推測するとおそらく、短腓骨筋腱付着部の第5中足骨底)

 

尋常ではない痛みで数分立ち上がれなかったことを覚えており、翌朝、とんでもなく腫れていたことを覚えています。

 

この時点で、自転車+歩行で自宅に帰り、翌日の受診まで半日以上経っていたことも良くなかったのでしょう。

 

僕の度重なる怪我はこの時点から始まってしまったと推察できます。

 

4ヶ月間の足部固定は、その後のサッカー人生を狂わせるほどだったと思います。(少々大袈裟ですね笑)

 

でも!本当に、足関節捻挫を侮ってはダメ!!です。

 

重症の場合には、直ちに医療機関でレントゲンを撮ることが必須です。

 

しかし、前述したように、骨折の割合は15%でしかなく、実に85%の人にはレントゲンは必要ない、必要がなかったと言えるのです。

 

レントゲンは被爆したり、多額のコストが掛かったり、何時間もの診察待ちがあったりと、何でもかんでもレントゲンにかけるのは良いことだとはいえません。

 

(痛みが強いと、レントゲンしましょう!となりがちです。ドクターの気持ちからするとそうなります)

 

理想は、なるべく正確に骨折がほぼ疑われる者にだけレントゲンをかけ、そうではない人と鑑別することです。

 

そして、スポーツ現場での受傷では、どの程度の怪我なのか、緊急性が高いのか、それともプレーに戻れるのか、迅速な判断が現場のトレーナーには求められます。

 

監督は早くピッチに戻したので、「どうなの!?」と早い回答を知りたがります。

 

 

そこで、本日ご紹介するのが、おすすめの一品、絶大な威力を発揮する、”Ottawa Ankle Rules(OAR)”です。

 

 

Ottawa Ankle Rules(OAR)

 

読み方は、”オタワアンクルルール”。

 

オタワアンクルルールとは以下のチェック項目により、全て陰性の場合、骨折ではない確率がほぼ100%見抜けるという素晴らしいテストなのです。

 

 

内果後下端6cmの圧痛

外果後下端6cmの圧痛

舟状骨の圧痛

第5中足骨の圧痛

受傷後すぐに4歩歩けるか(歩けたか)

 

 

 

手順としては以下のように行います。

 

  1. 上記の4つの触診を行う
  2. 怪我をした直後、歩くことは出来たかを聞く
  3. 今目の前で再度歩いてもらう

 

以上です。

 

歩けるかどうかは、4歩歩けるかがポイントです。

 

足を引きずっていようが、自力で4歩歩ければOKです。

 

これらをクリアしていれば、ほぼ100%骨折はないと捉えてOKです。

 

 

感度(Sensitivity)と特異度(Specificity)

 

スペシャルテストには、感度と特異度という見方が存在します。

 

慣れない頃はどっちがどっちだっけ?となりがちですが、この機会に憶えてしまいましょう!

 

 

感度(Sensitivity)

 

ネガティブテストともいいます。

 

これは、罹患している人がこのテストを受けると、殆どの人が陽性になりますよ!というテストです。

 

裏を返すと、間違って陰性になることがないということです。

 

偽陰性にならないということであり、

 

例えば、「あなたは骨折していませんよ~!」といったのに、『実は骨折していました!』ということがないということです。

 

つまり、感度が高いテストで陰性になるということは、骨折ではないと除外できるということです!

 

Ottawa Ankle Rulesの感度は、なんと98%であり、先程の5つのテストで問題がなければ、ほぼ確実に骨折でないと言えるわけです。

 

犯人探しで例えると、犯人を1人特定することはできないけれど、「あなたは犯人ではない!」と犯人を絞ることができるということですね!

 

「聞き込みにより、完璧なアリバイが見つかったから、犯人候補から外します」みたいな感じです。

 

感度(Sensitivity)=犯人ではない人を見つけられる

 

 

特異度(Specificity)

 

ポジティテストともいいます。

 

これは、非罹患である人がこのテストを受けると、殆どの人が陰性になりますよ!というテストです。

 

裏を返すと、間違って陽性になることがないということです。

 

偽陽性にならないということであり、間違って「あなたはガンだ!いますぐ治療しなさい!」と健康なのに、治療させられる羽目にならないということです。

 

 

Ottawa Ankle Rulesは、特異度が26.3~39.8%と低く、骨折していなくても骨折していると判断される可能性があります。

 

つまり、Ottawa Ankle Rulesでどれかに引っかかって、病院でレントゲンを受けても、実は骨折ではありませんでしたとなる人が少なからずいるということです。

 

ただ、感度が素晴らしく高いので、骨折をしていないと判断する力は高いので、これだけでも随分と正しい判断が下せるようになっています。

 

 

特異度のイメージをまとめると、

 

「指紋が見つかりました。犯人はあなたです!」と、特定できることです。

 

つまり、特異度が高いテストで陽性になるということは、その疾患を特定できるということです!

 

特異度(Specificity)=犯人を特定することができる

 

 

The Buffalo Rule (BR)

 

特異度が低いというのがやや気になるOttawa Ankle Rulesですが、The Buffalo Rule(バッファロールール)により、特異度の改善に成功しました。

 

なので、The Buffalo Rule についても記載しておきます。

 

 

特異度45~59%へ

 

The Buffalo Ruleは、OARの『内果後下端6cmの圧痛、外果後下端6cmの圧痛』を改変し、以下のようにしました。

 

内果6cmの中心線の圧痛

外果6cmの中心線の圧痛

 

要は、後ろ側でなくて、骨体の中央を触って圧痛があれば…という見方に変えたわけですね。

 

このことで、より正確に骨折の有無を判断できるようになり、偽陽性が減ることになりました。

 

そして、アメリカでは、OARによってレントゲンにかかる費用が19~38%の削減、BRでは54%の削減できたのことです。

 

 

まとめ

 

足関節内反捻挫に伴う、骨折の有無を推測できるテストをご紹介しました。

 

これだけで、現場で判断するわけではありませんが、よりその精度のあがるものであり、コーチや監督でも行えるものです。

 

日本の現状では、まだまだトレーナーがいないチームは山ほどありますから、トレーナーでなくてもぜひ覚えておきましょう!

 

 

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この記事を書いた人
鈴木 孝佳

アスレティックトレーナー兼プロダクトマネジャー。
自他ともに認める健康オタク(最近、生命線が手首を突き抜けている事に気づいた)
音楽が好き。(ギター、ドラム、カラオケを嗜む)
休日には、東京の美味しいものを探しに。

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