ロッカーファンクションは歩行の鍵

足部

ヒトの最大の特徴は直立ニ足歩行です。

 

これが他のほ乳類との大きな違いでもあります。

 

そして、ヒトの歩行は数十kmもの長距離を継続することが可能であるとされています。

 

また、2〜3時間で40kmを走破できる動物はほとんどいません。

 

考えてもみれば、ヒトが繁栄するきっかけになったのはアフリカ大陸から歩いて出発し、世界中に広がっていったことが要因であることからも、歩く能力に非常に長けているということがわかります。

 

 

 

動物には特殊能力と呼べるものがあります。

 

例えば、嗅覚に優れた犬、聴覚に優れたウサギ、視覚に優れた鷹。

 

これらの動物などと同様に、ヒトにおいては、歩行がそれにあたると言えます。

 

この歩行に優れた理由は様々挙げられますが、今回は第一の駆動力となる”ロッカーファンクション”についてお伝えします。

 

 

ロッカーファンクション

ロッカーファンクションは、以下の3つから構成されます。

 

ヒールロッカー
アンクルロッカー
フォアフットロッカー

 

基本的に直立していると、重力によって地面に垂直に体重がかかっています。(作用力)

 

 

また、床から身体に向かって垂直に伸びる力(反作用力)が返ってきます。

 

作用力と反作用力は常に同等の力を有します。

 

この作用のおかげで、同じ位置で直立することが可能です。

 

では、歩行するときはどのようにすればよいのでしょうか。

 

この下へ向かっていこうとする身体重量を前方への動きに変換しなければいけません。

 

 

位置エネルギーと運動エネルギーって?

いわゆる、”位置エネルギー”と呼ばれるものを”運動エネルギー”に変換するということになります。

 

 

位置エネルギー

位置エネルギーとは、物体が”ある位置に存在する”ことで得られているエネルギーのことをいいます。

 

そもそもエネルギーとは、「物体が持っている仕事をする能力」です。

 

高いところに存在するということは、重力により落下した時に大きな力が発生します。(エネルギーの発生)

 

 

つまり、高い所にあるものは、それだけでエネルギーを得られているということになります。(ポテンシャルエネルギーともいいます)

 

さらに重量があるとエネルギーは大きくなります。

 

例えば、ピン球を1メートルの高さから落下をさせても床に影響はないでしょうが、100kgの鉄球を落とせばおそらく床に傷がつくでしょう。

 

 

鉄球のほうが、位置エネルギーが高いということです。

 

 

運動エネルギー

対して、運動エネルギーは運動している物体の持つエネルギーです。

 

動いている物体が、他の物体に衝突したときに与える影響の大きさで表します。

 

基本的には、大きく速い物体の方がエネルギーが大きくなります。

 

例えば、体重50kgの人が時速1kmでぶつかってきてもたいして痛くはないでしょうが、1.5トンの乗用車が時速50キロでぶつかってきた場合、おそらくただでは済まないでしょう。

 

 

位置エネルギーと運動エネルギーに関してはこんなイメージです。

 

つまり、歩行においては、人という物体が重力によって落下するエネルギーを、前に進む運動エネルギーに変換することで歩行が可能になるということです。

 

そして、それを続ける必要があります。

 

そのためには、足部において踵骨と足関節、中足趾節関節が対応する必要があります。

 

これらの部位が果たす役割をロッカーファンクションと呼びます。

 

イメージとしてはロッキングチェアのようなもので、”揺りてこ”と呼ばれるものです。

 

 

ざっくり言うと、骨の形状(丸み)を利用して転がるように進むことで、前方へのエネルギーを生み出しているということです。

 

これに筋の活動で制御して調整しています。

 

このロッカーファンクションがうまく機能しているのであれば、筋が発生するエネルギーは最小限にとどまることとなり、疲労することなく長距離を歩行することが可能であると言われています。

 

以下では、各ロッカーモーションについて解説していきます。

 

 

ヒールロッカー

立脚期のスタートは、ほとんどの場合、踵骨の接地から始まります。

 

このときの荷重の受け継ぎの際、前方へ落ちていく体重によって生じる勢いは、ヒールロッカーによって受け止められます。

 

ヒールロッカーは、イニシャルコンタクト期からローディングレスポンス期で起こります。

 

床に接地した踵骨隆起の丸い表面によって、体重が前方へ移動します。

 

また、この時、踵骨の街内も起こり衝撃緩衝にも貢献します。

 

ヒールロッカーにおいては、前脛骨筋の機能が重要となります。

 

足部が床に向かって落下をしていきますが、この時にその速度を調整しています。

(ペタン!(= foot flat)と床に落ちないよう)

 

また、足部のコントロールと同時に下腿を前方に引っ張り、膝関節を屈曲させます。

 

同時に、大腿四頭筋は下腿が前方へ倒れすぎないようにコントロールしています。

 

 

背屈制限がある、前脛骨筋機能不全、大腿四頭筋機能不全がある場合にはヒールロッカーを実行することが難しくなります。

 

 

やっぱりハイヒールは歩き疲れる?

ハイヒールは,その構造から足関節の底屈が強制され、ヒールロッカーが短縮します。

 

さらに、後述するプレスイング期には、中足骨頭が転がりフォアフットロッカーが働くことで体重ベクトルを前方に移動させ、前進を続けることができます。

 

しかし、ハイヒールでは前足部が圧迫されているため、フォアフットロッカーが働きに くくなると考えられます。(足趾が屈曲しやすい)

 

これらのことから,ハイヒールでは推進力の産生が不十分となり、歩幅とストライド長が短縮します。

 

短時間の歩行では、下肢筋の疲労度にヒール無しの場合との差はないというリサーチがありますが、長時間歩行となると推進力の産生が得られにくい為、より疲労しやすい可能性があります。

 

 

アンクルロッカー

ヒールロッカーで発生した下腿の前方への動きの際、距骨を支点に前方へ回転していきます。また、腓腹筋、ヒラメ筋によって制御される足関節背屈が起こります。

 

これをアンクルロッカーといいます。

 

アンクルロッカーはミットスタンス期で起こります。

 

垂直を超えた下腿は、重力によって自然と前方へ倒れていきます。

 

この時、足底は地面に固定されており、ヒラメ筋が下腿の動きをコントロールし、腓腹筋とともに背屈を制御します。

 

ミッドスタンス期において、下腿三頭筋の機能低下は下腿のコントロールを失い、結果、膝の前後のぐらつきを引き起こします。
(下腿のコントロール=膝のコントロールに繋がる)

 

 

フットロッカーロッカー

フォアフットロッカーは中足骨頭を回転中心として起こり、さらに前方への推進力を生みます。

 

フォアフットロッカーは、ターミナルスタンス期で発生します。

 

 

踵が床から持ち上がると、動きの支点が中足趾節間関節に移ります。

 

ここでは、下腿三頭筋がミッドスタンス期の3倍の活動で前方へ倒れる下腿のコントロールをします。

 

歩行速度が遅い、歩幅が狭いクライアントは、フォアフットロッカーの恩恵を受けられていない可能性があります。

 

また下腿三頭筋の下腿のコントロールが上手く出来ていない可能性が考えられます。

 

 

セミナー情報

 

機能解剖学を始め、評価、改善方法を学びたい方にオススメです!

 

今回は、足部・足関節について深く学んでいきます!

 

お申込み:https://req.qubo.jp/catback4h/form/Academia1

 

詳細はこちらです。

2017年最後のimokアカデミア「足部・足関節編」開催のお知らせ
情報リテラシーが学びには必要! 私達が学びを続ける中で、絶対に欠かすことが出来ないと考えているものが、「自らの頭で考えられる力があるか」です。 受け取った情報を「情報」としてインプットするのではなくて、自分の中にある...

 

この記事を書いた人
鈴木 孝佳

アスレティックトレーナー兼プロダクトマネジャー。
自他ともに認める健康オタク(最近、生命線が手首を突き抜けている事に気づいた)
音楽が好き。(ギター、ドラム、カラオケを嗜む)
休日には、東京の美味しいものを探しに。

鈴木 孝佳をフォローする
足部
鈴木 孝佳をフォローする
Trainer's Library

コメント